全裸監督 Netflixのレビュー


山田孝之が完全に村西とおるに成り代わる、全裸監督。原作も本人の伝記的作品から世界観を変えずにノンフィクションぎりぎりにしている感じだった。

監督は武正晴。「百円の恋」好きでしたので期待して深夜垂れ流し見をしてしまった。

バブル景気に沸いた1980年代の日本に、逆境をチャンスに変えた奴がいた。男の名は村西とおる(山田孝之)。彼こそが、エロの概念を覆し、AV業界に革命を起こした伝説の風雲児。
前科7犯、借金50億円。AVの帝王の破天荒極まりない波乱万丈の半生を振り返る。(▶Netflix公式サイトより

山田孝之こと村西とおるが営業職時代にいかにして英語教材を売ったかという美談から始まるのがとっても日本的な感覚。もちろん、それがトーク力として他の社会でも通用していくわけだけども。
コンプライアンス時代に、ちゃんとギリギリ表現を入れてくるあたり、もうTVでは絶対放送できないだろうなぁと思うわけです。その辺りがAV帝王を描くチャレンジブルな感じなのでしょう。忖度しないからこそピエール瀧が普通に役者としていい役でずーと出てきます。そのことはPRにも一切出てこない。ツイートみてても普通すぎてみんな事件を忘れてしまってるかのように。
ということで結構前から撮影して少し放送は後ろにずらしてきたように思いますが、いい役者たちが楽しそうに演じるのを見るとほっとしてしまいます。

ほんとアダルト映画レベルなので、ボリューム注意ですけどね

で、最後まで一気見して思うことは「で?」というなんとも言えない気持ち。
この作品は「村西とおる列伝」であって「めでたしめでたし」や「わたしもそういう風になりたい!」といった気持ちになる作品ではない。っていうのはわかって見ていても、この作品をどう心に消化していいか不明なところがとっても気になる。
ただのヒーロー列伝的にみるにはぴったりだけど役者の演技力がハンパないのでそのあたりの心の余韻がすこし寂しく感じるだろう。

でもまぁ、エロだけど面白い作品に仕上がってる。そりゃぁ山田孝之だもん。