大事なことって たいてい面倒くさいんだー宮崎駿監督


面倒くさい、めんどくせぇ、面倒くさいなぁ・・・
ずっと宮崎駿は言っていた。
コンテを書きながら、若手のチェックをしながら。
時々おれの時間を返せ!と怒鳴り散らしたりしながらも
机に向かって「めんどくさい」って言う。

面倒くさい。
「大事なことって たいてい面倒くさいんだ」

そう NHKで宮崎駿 プロフェッショナルの仕事流儀2013を見た。
http://www.nhk.or.jp/professional/2013/0826/

面倒くさいっていう自分の気持との戦いなんだという。
面倒くさかったらやめれば? うるせぇなぁ ってそういうことになると語りながら、それでも面倒くせぇって言う宮崎駿。

真っ白な紙から創造してつくりあげるアニメーションはそのイメージ伝達において全身全霊を込めているのがわかるし、その込められた何かを毎度感じて生きてきた。こんな大変なもの普通の人はやってはいけないなんてよくいっていた。
でもそこから凄い作品が生まれ見ることができた時代にいてよかったと思う。僕らの創造性の一つのかけら、いやもっと大きな何かになっていると自覚している。

我思う。自分の今やっている仕事というのが、本当に社会にとって良いものなのか、ためになってるかなぁとか、こんなEXCELで打ったものとかちゃんと商品に付加価値として付け加えれたのかなとか、ずーと感じている。それでいて面倒くさいなんていってたけど、本当に本当に、心の底から出る面倒くさいって言葉に心が震えた。

自分より30年以上先を生きてる先輩。30年以上過去も知る先輩。
すごいすごいヒトだ。

風立ちぬの関東大震災の描写をどう出すか考えている時に起きた東北大震災。
その時ジブリは混乱が落ち着くまで三日間休みとなった。しかし宮崎駿は怒鳴りつけたんだった。
心が震えた。
そのシーンは
みんな来られたのになんで会社休みにするの? から始まる。
「来られているのに混乱するからというのはなんでだ?」

「誰が混乱するといったんだ!」
「何が混乱するんだ!」
「休んでしまったほうがそれが混乱だよ」
「多少無理してでもやるべし生産点を放棄してはいけないんですよ!」

実際には答えのない憤りで全身が震えている70歳の姿。
そしてその後、より繊細にその時を生きている人たちを描写するように指示し前に進むんだけど、つくられた震災の時に逃げ惑う人々の4秒のシーンなどの意味がじわぁーっとにじみ出てくる。
混沌の時代、それぞれが生きる姿が書かれている。捨てられるような動きはない隅々まで人間が生きている映画になったのだ。

そして言った。
激しい時代の風が吹きすさんでくる。その中で自分たちが生きなければならない。
そう、風立ちぬなんだ。
今はファンタジーで女の子の生き方にスポットを与えても仕方ないんだ。今こそどう生きるか、たふる限りの力を尽くして生きる姿を描くんだ!という思いが風立ちぬに込められた。

書きすぎたんじゃないんだ。(前のエントリー

そうかそれで劇中でも語られた「創造的人生の持ち時間は10年だ」というセリフが重なる。

宮崎駿自身の「創造的人生の持ち時間は10年だ。」が経ったってことなのか。

ありがとう。

さて私のその10年はあるんだろうか。
今がその10年の中にいるんだろうか。
まだわからない。そんなのがわかる70歳になりたいとおもった。
50年後の自分のためにいまたふる限りを生きねば。
面倒くせぇよ。ほんとうに。俺というのは。よろしく。そしてありがとう。